Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
それは二俣に対しても同じだ。二俣に言われたことに関しては、やはりすんなりとは肯定できない。いくら親友でも、そこまで自分の心を吐露することはできなかった。
遼太郎は、逆襲とばかりに話の矛先を、同じ願望を抱いているであろう二俣に向けた。
「じゃあ、ふっくんは沙希ちゃんとそこに行ったことがあるのか?どんなところだったか、教えてくれよ。」
遼太郎の切り返しに、今度は二俣の方が言葉をなくした。驚いて目を見開くものだから、その目がますます大きく見える。言葉を探して口をパクパクさせる姿は、まるで酸欠状態の金魚みたいだ。
「ばっ、バッカやろう…!俺と沙希はそんなんじゃねーよ!」
辛うじて言葉を絞り出した二俣の顔は、火がついたみたいに真っ赤になっている。
「そんなんじゃないって、じゃあ、いったい何なんだよ。ふっくんの彼女じゃないのかよ。」
遼太郎は澄ました顔で、意地悪な質問を繰り返した。
「…か、彼女に決まってんだろ。」
「じゃあ、そんなんじゃないって、どういうことだよ。好きなら、そういうことしたいって思ってるはずなんだろ?」
遼太郎は二俣に言われたことをそのまま返して、反撃した。こんな風に理詰めになると、二俣の方が分が悪くなる。
言葉に詰まった二俣は、真っ赤な顔のまま苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべた。
「…とにかく…!俺は今まで、沙希とはそういうことは何もしてねーし。」
「何もって…?」
ようやく自分たちの状況を打ち明けた二俣に、遼太郎は驚きを隠せなかった。
「何もって…、キスもしたことないのか?」