Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
思えば、「好き」の度合いもあると思うが、二俣も少なからずみのりに想いを寄せていた。そういう状態で沙希とも付き合っていたわけだから、その心の内は思ったよりも複雑なのかもしれない。
そこまで思いが至ると、二俣に対して少し言い過ぎてしまったと、遼太郎は反省した。
「そう言えば、江口ちゃんから聞いたか?春休みの練習試合に加勢してくれって言ってたぞ。」
コーラを片手に戻ってきた二俣は、何事もなかったかのように、違う話題を持ち出した。
遼太郎も、気を取り直して微笑んだ。
「うん、聞いてるよ。俺には、センターに入ってくれって言ってた。」
「遼ちゃん、センターやるの久々だな。俺はどこに入るんだろ?聞いてねーや。」
二俣はニヤリと笑って、残っていたコーラを飲みほした。
「みのりちゃんに言って、応援に来てもらえよ。みのりちゃんも遼ちゃんがラグビーするの見れると、喜ぶと思うぜ。」
そういう風に言っているが、みのりに応援に来てほしいのは、何者でもない二俣自身なのだと、遼太郎は知っていた。
「体が鈍ってるから、明日からまた部活に顔出して練習しとかないとな。」
「くーっ!体戻すの大変だぞ。江口ちゃんにシゴかれるだろうなぁ~。」
二俣は立ち上がると、片手に空き缶を持ったまま、股を開いて上半身をひねった。
二人はそうやって、ひとしきりラグビーのことで盛り上がって時を過ごし、その後めでたく出来上がった初めての運転免許証を受け取って、帰途に就いた。