Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 その話を聞きながら、みのりの心の中には黒い雲が湧き上がってくる。頭を抱えて、うなだれてしまいそうになるのを、必死で我慢した。

 もうすでに一人の女性に哀しい思いをさせてしまっていたことが、みのりには耐えられなかった。


「今日は、やっとみのりさんに会うことが出来て、僕としては本当にうれしいんです。」


 要するに、蓮見は自分に好意を寄せてくれている――。

 けれども、告白とともに向けられた蓮見のはにかんだ笑顔を見ても、みのりはときめくどころか困惑し、絶望にも似たような感情しか感じなかった。

 多分このまま、蓮見が自分に想いをかけてくれているように、自分の中に蓮見への気持ちが育っていくことはない…。それを今、はっきり蓮見にも告げておかねばならなかった。


「あの…、蓮見さんのお気持ちはとても嬉しいんですが、私は……」

「みのりさんが結婚に乗り気ではないことは、解っています。」


 みのりが決定的なことを言って今後の発展を断る前に、蓮見がそれを遮った。
 

「もうずいぶん前からお見合いを申し込んでいるのに、ご実家のお寺の方からはいい返事がなかったし…。今回、御堂さんに仲介をお願いして、やっと実現したんです。…だから、この出会いをこれで終わりにしたくないし、無駄にしたくないんです。」


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