Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
蓮見はそこで息を吐き、更に想いの丈を言葉に込める。
「最終的には、断られても構いません。でも、決めるのは今ではなく、何度か会って、時間をかけて考えてもらってからにしてほしいんです。」
ここまで言われて、それでも敢えて、蓮見の気持ちを無視して拒絶するほど、みのりも非情にはなれない。
みのりは心の中で、深い溜息を吐いた。ここは、蓮見の気持ちを受け入れて、態度を保留した方が無難みたいだ。
「……分かりました。それじゃ、しばらく考えさせてください。」
静かにみのりが頷くと、蓮見も安心したように息を抜いた。
「帰りましょうか。これ以上お引止めして、みのりさんに嫌われたくない。」
そんなふうに言われても、みのりには何とも答えようがなかった。
そんなことで嫌ったりなんてしない。でも、逆に好きになる可能性もない。
蓮見がかつての彼女に対して何も感じなくなったのと同じように、みのりは蓮見に対して何の感情も抱けなかった。それはきっと、何度会っても変わることはないだろう……。
それから、御堂夫人のカフェに帰り着くまで、お互い不必要なことには口を開かず、車の中は沈黙が支配した。