Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「樫原くん。帰るの?一緒にゴハン行かない?」
同じ環境学部だと言っていた先ほどの女の子たちが、声をかけてきた。
人懐っこい樫原は、同じクラスの女の子の大部分と友達になっているらしく、とても親しげに話を始める。女の子と一緒にいても、まるで同化してしまって、全く違和感がない。
「狩野くん、彼女たちも一緒に来るって。ちょっと晋ちゃんに連絡入れとかないと。」
樫原はテキパキと、こういうことには余念がなく、早速スマホを取り出して電話をかけている。
「初めて見たけど、佐山くん、カッコよかったねー。」
「そうそう、普段とは全く違うから、びっくりしちゃった。」
夜になり幾分涼しくなった街角で、女の子たちのそんなおしゃべりを聞きながら、遼太郎は樫原の電話を終えるのを待った。遼太郎は個人的に、この女の子たちとは親しくないので、こんな時どうすればいいのか困ってしまう。
「ご飯、一緒に行けるなんてラッキーだったね。」
「バンドのメンバーの人たちも来るのかな?」
「うん、どこに行くんだろう?」
「狩野くん、どこに行くのか聞いてる?」
女の子の一人からいきなり話しかけられて、遼太郎はびっくりして固まってしまった。