Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
それから、樫原と女の子たちの他愛のないおしゃべりを聞きながら佐山を待ち、次第にライブの興奮も冷めてくると、遼太郎も空腹を感じるようになった。
目が回りそうになったころ、ようやく佐山がバンドの他のメンバーたちと出て来てくれた。
「遼太郎!来てくれて、うれしいよ!!どうだった?俺。」
ギターを担いだ佐山は真っ先に遼太郎を見つけて駆け寄り、そう言って声をかけてきた。
「うん、本格的でびっくりしたし、男が見てもカッコいいと思ったよ。」
それを聞いて、佐山は恥ずかしそうに、それでいて満足そうに、
「カッコいい遼太郎からそう言われると、マジでうれしいよ!」
と、ニッコリと笑った。
「佐山くん!私たちも来てるのよー!」
女の子たちの声が背後から響き、佐山は顔つきを遼太郎に対するものからガラリと女の子仕様に変え、クルリと振り向いた。
「分かってるとも!ステージからも見えてたからね。来てくれて、ありがとう。」
「えー?!ステージから私たちが見えたのー?」
「もちろん、みんな可愛いからすぐに分かったよ。」
この会話を聞いて、遼太郎の全身に、先ほどとは違った意味で鳥肌が立った。