Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「いないんなら、別に義理立てすることもないし。『新しい』彼女作ったらいいと思うぜ?彼女がいれば世界も広がるし、大学生活で男友達しかいないなんて、虚しいもんな。」


 そう言われても、好きでもない女の子と付き合うほど疲れるものはないと、遼太郎は思う。

 他の誰かを好きになるには、遼太郎の中のみのりの存在があまりにも大きすぎた。他の誰とも比べようもなく、みのりは遼太郎にとって完璧な存在だった。


「けっこう環境学部、可愛い女の子多いぜ?ほら、あの子なんて。茂森彩恵ちゃんだっけ?」


 佐山が視線で示した先を見てみると、バンドのメンバーの一人と楽しそうに話をしている女の子がいた。顔さえ覚えていないのに、名前なんて判るはずがない。


「佐山こそ、彼女がいるらしいけど。今日は来てないのか?こんなふうに女の子と食事なんかしてると、やきもち焼くんじゃないのか?」


 遼太郎のこの切り返しに、佐山も一つため息を吐く。


「確かに、すごいやきもち焼くんだ。だからかな?俺のライブに来るの、嫌らしい……。」


 あれだけ女の子にキャーキャー言われるのを見ると、彼女としては気分のいいものではないかもしれない。
 でも、その逆に、それほど大勢の女の子に憧れられている人から想われて、〝彼女〟という特別な存在でいられる優越感を味わうこともできるはずだ。


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