Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「付き合い始めた頃は、喜んで来てくれてたんだけどなぁ……もう、終わっちゃうかもなぁ……。」
ポツリと言った、佐山の一言に遼太郎が反応する。
「終わっちゃうって…?」
「終わっちゃうって、別れることに決まってるだろう。」
あまりにも佐山がサラッと言い放つので、遼太郎は自分の耳を疑った。
「…もう、好きじゃなくなったのか…?」
「好きじゃないわけじゃないけど。そもそも俺、アイツのことちゃんと好きだったのかな…?告白されて、可愛い子だったから付き合ったけど…。」
テーブルに肘をつき、ドリンクバーのメロンソーダを飲みながら、佐山は遠い目をする。
「…その程度の気持ちで付き合うなんて、俺には到底できないな。」
遼太郎の言葉を聞いて、佐山はフッと笑いをもらした。
「遼太郎はその辺、見るからに真面目だもんな。俺だって、その時は『好きだ』って思うんだぜ。だけど、その『好き』はきっと本物じゃないんだ。でも、その時は自分でも見極められない。……お!これ、歌になりそうだな。メモっとこう。」
佐山はそう言うや否やスマホを取り出して、何やらブツブツつぶやきながら指を動かし始めた。
遼太郎は箸を置き、グラスにあった水を飲み干す。