Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「ねえ、狩野くん!今度みんなで遊びに行こうって言ってるんだけど、夏休みは帰省するの?」
振り向いた樫原から声をかけられて、遼太郎も話の輪の中に入る。
「俺は、佐山のライブが終わったら、帰省しようと思ってたんだけど…。」
「えー、ちょっと1週間くらい遅くにできないの?」
女の子の一人からそう言われて、遼太郎は肩をすくめた。
「高校の部活の先生から、帰ってきて後輩の練習の相手してやってくれって言われてて、もう行くって返事してるし…。」
「えっ?!狩野くん、部活って、何やってたの?」
「狩野くんはね~。なんと、ラグビーやってたんだって!」
遼太郎本人よりも早く、樫原が自慢げに口を挟む。
「わー!ラグビー?!すごーい!!」
「カッコいいねー!それでこんなにがっしり逞しいんだね。」
「後輩の相手ってことは、まだ現役みたいなもんなんだ。」
ありがたいことに女の子たちは遼太郎にも興味を示してくれて、ひとしきり、それをネタに話が盛り上がった。
「それじゃ、狩野くんは残念だけど、他にも誘ってみたらいいじゃん。」
「…で、どこに遊びに行く?」
話が自分のことから逸れて、遼太郎はホッと視線をみんなの輪から移す。