Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
――先生に会いたい……!!
遼太郎は、もう我慢が出来なくなった。
一目でもいいから、どうしてもみのりに会いたくて、たまらなくなった。
キュッと両手を握り自転車のブレーキをかけて、ハンドルを切り返す。みのりのアパートの方へと自転車の向きを変えると、一気にペダルを踏み始めた。
みのりのアパートまで来て、遼太郎はみのりの部屋に灯りがともっていないことに気が付いた。アパートの駐車場まで行ってみても、やはりみのりの車はない。
息を荒げたまま、少し考える。
このままここで、みのりの帰宅を待っていることも過ったが、居ても立ってもいられない遼太郎は再びペダルを踏み込み、行先を変えた。
みのりが行きそうな所…。
本屋にCDショップに、レンタルショップ。スーパーマーケットに、ところどころにあるコンビニまでしらみつぶしに、片っ端から思いつくところに立ち寄ってみた。
流れ落ちる汗も拭わず、空腹も感じず、部活の後の疲れや自分の呼吸の苦しささえも忘れて、まるで何かに取りつかれたように、みのりを探して芳野の街をさまよった。
帰りが遅いのを心配して、家からスマホへと連絡が入る。
我に返って時刻を確かめると、もう10時を回っていた。