Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「……明日の試合に勝ったら、付き合ってほしいって言われました……。」
それを聞いて、みのりは少しホッとしたように黙って頷いた。
宇津木は世界史選択者なので、みのりは授業を担当していない。しかし、遼太郎の後にスタンドオフになったこともあって、その成長を見守っている生徒だった。
「花園予選の前に、告白はされてたんです。……だけど、私。同じクラスの宮園くんからも告白されてて……もう、どうしたらいいか……」
愛はそう言いながら、うつむいて頭を抱えた。みのりはその様子を、黙ったまま見守る。
要するに、愛は二人の男の子に想い寄せられて、その板挟みとなり悩んでいるらしい。
愛は、二俣の妹だけあって目の大きな女の子で、それがとても可愛らしい。明るく気立てのいい性格も、異性は惹かれるところだろう。この愛がモテるということは、みのりにも納得できる。
「みのりちゃん。こんな時どうしたらいいと思う?」
すがるような目で、愛はみのりに訴えかけた。みのりも、そんな愛を見ながら深く息を吐き出して、少し考える。
1年生の宮園のことは全く解らないが、宇津木にしてみたら、愛への想いを試合で戦う原動力にしているのだろう。そうやって気持ちを高揚させて試合に臨めば、思ってもみないような力が発揮できたりもする…。