Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
でも、だからといって愛がそれに流されることはない。試合で勝つことと恋とは関係ない。大事なことは……。
「大事なのは、愛ちゃん自身の気持ちよ。相手のことが好きだったら、その人と付き合えばいいんだから。」
「うん。そうなんだけど、どっちも同じくらい好きだし…。もう、どうしたらいいか……。みのりちゃんは、どっちがいいと思う?」
この問いに、みのりは絶句した。
みのりの感覚では、『同じくらい好き』というのは極めて幼稚な想いでしかなく、突き詰めれば『どっちも好きではない』というのと同じことだった。
だけど、それをダイレクトに伝えてしまうのは、あまりにも厳しすぎる。考えあぐねて、ようやくみのりが口を開いた。
「それは…、愛ちゃんが自分で決めることよ。他人の意見を聞くことじゃないと思うけど。」
突き放すようなみのりの答えに、愛はますます追い詰められた顔をした。
「それは分かってる…、分かってるけど。自分の力だけじゃ、結論が出ないの。ちゃんと告白されたから、ちゃんと考えて応えたいし。」
「うん、ちゃんと向き合って真剣に考えて応えたいと思うのは、偉いと思う。」
みのりはそう言って、二人の男の子に対する愛の誠意を褒めてあげた。すると、愛も少し表情を緩める。