Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「車高が高いから、ちょっと乗りにくくて、すみません。」

「免許取ったばかりで、いきなりこんな大きな車運転しちゃうの?すごいね。」


 運転席に乗り込んだ遼太郎は、シートベルトを締めて肩をすくめた。


「本当は母さんの軽自動車を借りようかとも思ったんですけど、先生を乗せて高速道路も走るんで、こっちの車にしたんです。」

「それでも、セダンじゃなくてワゴン車って。狩野くんのお家は、大家族なの?」

「大家族じゃないけど、セダンの後部座席に姉ちゃんと俺と弟の3人はちょっときついんで…。特に、俺と弟が大きくなったから。」


 遼太郎はすべるように車を発進させながら、そう言って白い歯を見せた。


「えっ…!弟?狩野くん、弟がいるの?」


 初めての聞くその事実に、みのりは目を丸くして驚いている。


「はい。今度4月から中学3年です。」

「ということは、受験生ね。芳野高校受けるの?」

「さあ、そのつもりだと思いますけど…。あいつ、勉強嫌いだから、どうなるか…。」


 遼太郎は呆れているような笑顔を見せて、チラリとみのりの方へと視線を向けた。


「弟さんが芳野高校に入ってからも、私はまだ2年いるはずだから、教えることになるかもね。」


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