Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
スポーツドリンクを口に含み、渇いたのどを潤して、遼太郎は肩をすくめた。
「僕は高校でしかやってないんですが、僕なんかが務まるでしょうか?」
「いや!それは大丈夫!!」
吉住は日に焼けた顔から白い歯をのぞかせて、ニッコリと笑った。
「今日の君を見てたら、初めてとは思えないくらい馴染んでたよ!経験だって、俺も高校でやってただけだし。」
それを聞いて、安心したように遼太郎も笑う。
この前の夏休み、芳野高校の部活に顔を出して、初心者の1年生の練習に付き合ったのが功を奏しているのかもしれない。
遼太郎のその笑顔は、無言の了承だった。
出来ることなら、またここに来てこうやって練習を共にしたいと思っていたのは、遼太郎の方だった。
〝コーチ〟という肩書は、少しくすぐったく感じるけれども…。
「このグラウンドを借りての練習は、有志による不定期なものなんだ。正規の練習は、別の所で毎週日曜日の午前中にやってるから。スクール生ももっとたくさん来るよ。」
それから、今度の日曜日、吉住の車で一緒に練習に連れて行ってもらうことになり、メールアドレスの交換などをして、吉住と別れた。