Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
高校を卒業して終わりと思っていたラグビーとの関わりを、再び持つことができた。こうやって関わりを持てて、自分がやりたかったことを、やっと見つけられたような気がした。
どうして彩恵は、そんな自分の心を理解してくれないのだろう。
遼太郎はそんなことを思いながら、唇を噛んだ。うつむく彩恵の胸のところで組まれた両手の細い指を見つめるうちに、時だけが過ぎ去っていく。
「…狩野くんって、いつも謝ってばかり…。私は、狩野くんに謝ってほしいんじゃないって、分かってる?」
「…うん。分かってるよ…。」
彩恵が求めてるのは、謝罪でも誠意でもなくて、ただ遼太郎の愛情だ。それを目に見える形で表現してくれるのを求めているだけだ。
「ウソ…!!分かってたら、どうして何度もこんなことを繰り返すの?!」
彩恵の不満がとうとう爆発した。ずっと心に抱えていたことを、声を荒げて叫んだ瞬間、涙がほとばしって落ちた。
『どうして?』と問われても、どうしてこうなってしまうのかは、遼太郎にだって分からない。とうとう泣き出してしまった彩恵を、どうやってなだめていいのかさえも、分からなかった。
「……悪かったよ。これからは気を付ける。」
と、遼太郎には、これまでと同じ言葉を繰り返すことしかできなかった。