Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
別れを決意したものの、そのまま冬休みに入ってしまい、彩恵には会う機会がなくなってしまった。遼太郎はなかなか彩恵に連絡をする勇気が出ず、そのことを切り出せないまま、時だけが過ぎていく。
あんなに毎日のようにメッセージが届いていた彩恵からも、あれ以来ぷっつりと連絡が途絶えてしまった。
ラグビースクールの合宿も予定通り、充実した内容で無事に終えることが出来た。
子どもたちはもとより、他のコーチたちとも腹を割って打ち解けられて、東京で信頼できる人が増えたことは、遼太郎にとって、かけがえのない財産となった。
合宿が終わると、もう暮れも押し迫り、追われるように芳野へと帰省した。
芳野へ帰っても、相変わらずラグビー部に顔を出して、練習に付き合う毎日。それでも、ラグビーボールを持っている間だけは、やっぱり心の中のモヤモヤしたものを忘れていられる。
そして、あっという間に年が明け、毎年恒例のOB会が行われた。初めてOBとして参加するこの会で、二俣や衛藤など懐かしい仲間たちと数試合を楽しみ、思いっきり体を動かすことが出来た。
現役の時を思い出して、今のコーチとしての立場に、少しだけ物足りなさを感じる。久しぶりに作った膝小僧の擦り傷も、却って心地よいくらいだ。