Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりは遼太郎の全てを否定することなく、何でも受け容れて共有してくれた。ラグビーに夢中になる遼太郎を暖かく見守り、自分もラグビーについて知り、好きになってくれた。
きっとみのりならば、ラグビースクールのコーチの話だって、自分のことのように喜んでくれたに違いない。
自分を好きだと言ってくれるのは同じなのに、どうして彩恵は自分の全てを共有しようとしてくれなかったのだろう…。
同じ女性なのに、「好き」という想い方は違うのだろうか…?
そんなことをただ漠然と考えていた時、遼太郎の記憶の中に、かつて聞いたみのりの言葉が響いてきた。
――本当に、心の底から人を好きになったことがある…?
その問いを反芻したとき、彩恵の自分に対する「好き」は、心の底からのものではなかったと、遼太郎は気が付いた。そして、恋愛に未熟な彩恵自身、それに気づいていないのだろう。
――先生とは、想いの次元が違うんだ…。
それだけみのりは、彩恵と違って懐が深く、成熟した大人だということなのだろう。
そんなみのりも、初めてのキスは「気持ち悪かった」と言っていた。きっと色んな失敗や経験を重ねて、本当に人を好きになることが解っていったのだと、遼太郎は想像する。