Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりはその試練で鍛えられた心で、自分を好きになってくれた…。
その想いは紛れもなく本物だ。
そう思うと遼太郎の心は震えたが、同時に、みのりが与えてくれる居心地の良さに浸り、知らない内に甘えていた自分も、彩恵と同じく未熟な存在なんだと痛感する。
そんな未熟な自分だから、あんなふうに彩恵を傷つけてしまった。
みのりの想いの深さと自分の未熟さと…。
それに気づかせてくれただけでも、彩恵には感謝したいと思った。
それだけではない。この数か月間、彩恵と一緒にいた中で経験できたことはたくさんある。それは、〝みのり〟という優しいぬるま湯に浸かっていては得られなかったことだ。
遼太郎にそれを教えてくれる代わりに、彩恵は辛い感情を味わわねばならなかった。
――やっぱりちゃんと、茂森さんには謝らないと…。
東京へ戻って大学が始まったら、真っ先に彩恵に謝ってケジメを付けようと、遼太郎は決心した。
大学が再開されて、いつものように遼太郎が自転車で登校していると、大学に到着する少し前で、歩いている樫原と出会った。
「狩野くん!明けましておめでとう~♪」
まるでずっと会っていなかった恋人にでも再会したかのような、樫原の屈託のない嬉しそうな笑顔。