Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
ぎこちない空気が、二人を包む空間を支配する。すると、それを振り払うかのように、蓮見が口を開いた。
「それでは、今日はこれで…。お忙しいところ、お手間をかけさせてしまってすみません。」
「…え、……もう、お帰りですか?」
このところ伊納のしつこい誘いをかわしているみのりにとって、蓮見のこの淡白さは思いがけなかった。拍子抜けしてしまって、みのりは思わず引き留めてしまうような返答してしまっていた。
「はい。本当ならお食事にでもお誘いしたいところなんですが、僕もこの後、いつ終わるか分からない仕事が残ってますし。…みのりさんが元気にしているかどうか、ちょっと会いたかっただけですから。」
「はあ…、そうですか。」
と、みのりが少しホッとして頷いたその時、玄関横の階段を生徒が降りてきて、みのりは不意にそちらへと視線を向けた。
降りてきたのは、こともあろうに愛と俊次。これから部活に行こうというところで、ちょうど一緒になったのだろう。
みのりに気づいた二人は、みのりよりも蓮見の方に目が釘付けになっている。極まりが悪く、焦ってしまったみのりは、思わず二人に声をかけた。
「今から部活?頑張ってね。」