Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
15 愛しい想いと体の関係 Ⅰ
季節は移ろい…、紅葉に彩られたキャンパスに、晩秋の朝の肌寒い風が吹き渡る。
一般教養の語学の講義が行われるこの教室は、紅葉した木々の葉を通した柔らかい日射しが射し込み、ちょっと詩的な風景に出会える場所だ。佐山はそこの窓辺の席を陣取り、その秋の朝の気色を眺めていた。
…と、そこへ、樫原が顔色を変えて飛び込んでくる。そして、教室中を見渡し佐山の姿を捜し当てると、一目散に駆け寄ってきた。
「晋ちゃん!僕、すっごいこと聞いちゃった!!」
その一言に思索を遮られた佐山は、怪訝そうな顔をして、綺麗な景色から目を移し樫原を一瞥した。
「お前はいつもそうやって、何でも大騒ぎしたがるからなぁ。」
それを聞いて、樫原も不愉快そうな顔になる。
「…あ。じゃ、いいよ。晋ちゃんには教えてあげない。」
樫原はそのまま佐山の隣へと座ったが、へそを曲げたのか、何も言い出そうとしない。すると、佐山の方も、何の話題だったのか気になってくる…。樫原の耳に口を寄せて、こう囁いた。
「はたしてお前は、何も言わないで我慢できるかな…?ほら、今だって、俺にそれが言いたくてウズウズしているはずだ…。」
樫原はしばらく素知らぬ顔をしていたが、その鼻がピクピクと反応してくる。