Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
どんな形であれ知っている人間が、〝あんなこと〟をしているなんて、見て見ぬふりなんてできない。遼太郎は、そう思っていた。
しかし、遼太郎のその一言に、道子の気色が変わる。じろじろと遼太郎の姿を上から下まで、眺め回してから口を開いた。
「それじゃ、君が彼氏になってよ。そうしたら、あんなことやめるから。」
「…………え!?それは……。」
いきなり話がそういう展開になって、遼太郎は目を剥いてたじろいだ。
ここで道子の彼氏になってしまったら、話の成り行き上、必然的に体の関係を約束するようなものだ。
「…ほら、見なさい。『どうせ私なんか』の彼氏になりたいなんて、誰も思っちゃいないんだから。知らない人にでも、慰めてもらうしかないでしょ。」
自虐的で、全てを諦めてしまったような道子の言葉…。
でも、遼太郎は、それは〝違う〟と思った。
彼氏になったからと言って、必ずしも体の関係を持たなくてはならないわけじゃない。寂しいからと言って、どうでもいい男に抱かれて癒されるものじゃない。
「………分りました。亀山先輩の彼氏になります。」
「…えっ?!」
これには、道子も想定外だったらしく、その細い目を若干大きくして遼太郎を凝視する。