Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「…うんまあ、それなりに上手くやってるよ。『俺たち』なりにね。」


 愛しくて愛しくて、しょうがない。四六時中、一緒にいたい――。

 遼太郎が道子に対して、そんな感情は向けていないことは承知しているが、遼太郎自身が『俺たち』と表現する辺り、道子とは独自の信頼関係を築いて仲良くできているようだと、友人二人は認識する。


 道子のことを語る遼太郎の顔の明るさが物語っているように、遼太郎自身、道子と一緒にいることがそんなに嫌ではなく、むしろ楽しいと思うようになっていた。


 道子の口から出てくる言葉も、遼太郎を牽制したり、自分を蔑んだりするものは少なくなり、小さい頃の話だったり、将来の夢だったり…、前向きな話題が多くなっていた。

 道子はとても優秀な頭脳を持っている才女らしくて、見識も深く、いろんな話を聞いているだけで、遼太郎にとって勉強になることも多かった。


「すぐ別れちゃうかと思ってたけど、案外…続くよね?」


 樫原もそう言うように、初めは遼太郎の無謀さを心配していたが、こんな遼太郎を見ると、もしかして本当に道子のことが好きになったのではないかと、また違った意味で心配になってくる。


< 365 / 775 >

この作品をシェア

pagetop