Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 気が付けばもう他にOBやラグビー部員たちの姿はなく、そこに二人だけになってしまっていた。
 グラウンドを吹き渡ってくる新春の寒風が、いきなり身に沁みてきて、遼太郎は身震いしながら二俣を振り返る。


「いや、もう帰るよ。今日は夕方からも、二次会があるし。」


 二次会というのは、OBだけで集まって行われる飲み会のことだ。晴れて二十歳になったので、今年からはこの夕方からの会にも招集がかかっていた。


「…うん、それじゃ、その時にしようか…。」


 二俣にしては珍しい、歯切れの悪い物言いに、遼太郎は眉根を寄せて二俣を見つめた。


「…どうしたんだよ?大事な話だったら、逆に飲み会じゃ話せないぞ。」


 遼太郎にそう促されて、二俣は唇を噛む。

 二俣は大学生になってラグビーをやめてしまった上に、ビールを飲みつけたこともあって、ずいぶん緩んだ体型になってしまっていた。


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