Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「……どうして?!」


 そして、自覚もしないうちに遼太郎の口から、その疑問が飛び出してくる。
 中学生の時から付き合ってきている二俣と沙希は、多少の波風なんかも乗り越えられるほど、強い絆で繋がっていると信じていた。


 遼太郎からその質問をされることは当然想定していたはずだが、二俣は何と言って説明したらいいか、言葉を選んで考え込んだ。


「俺が……、悪いんだ。」


 二俣はそうポツリとこぼしたが、それだけではどうしてそうなってしまったか解らない。遼太郎は食い入るように二俣を見つめ続けて、さらなる説明を待った。


「…俺が、浮気したんだ。大学のサークルの同級生と…。」


『浮気』という言葉を聞いて、遼太郎の表情が曇る。


「沙希ちゃんよりも、その浮気相手の方が好きになったってことか?」


 事の真相を突き止めようと、遼太郎は二俣の心情を掘り下げる質問をした。もし、二俣が本気でサークルの同級生のことが好きになったのならば、それはそれでしょうがないことだと思った。


「…いや、別に好きでも嫌いでもないよ。…あの時は、魔がさしたんだ。飲み会の後、酔っ払ってて…。誘惑されたから、つい…。」


 話しの成り行きを聞いて、遼太郎は形相を険しいものに塗り替えた。


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