Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「…遼ちゃんが謝ることない。私の方こそ、乗れもしないのに乗って、迷惑かけちゃった…。でも、大丈夫かなって思ったの。前に乗ったのは随分前だし、時速100kmくらい高速道路じゃ普通に出すから…。」
同じ時速100kmと言っても、車のそれと直に体で風を切るそれとは大違いだ。それは、みのりも分かっていたと思うが、それでも無理して乗ったのは、自分を楽しませようとしたからだと、遼太郎は思った。
みのりに楽しんでもらいたいと思ってここに来たのに、それどころかこんな目に遭わせてしまって、遼太郎は本当にいたたまれなかった。
それなのに、優しいみのりは、
「…ごめんね。絶叫系に乗れないんじゃあ、遊園地、半分も楽しめないよね。」
と、申し訳ないような視線を遼太郎に向けてくれる。
「俺は、先生と一緒にいられるんなら、どこだろうが嬉しいんです。…この前も言ったと思うけど…。」
みのりが自分を責めないように、遼太郎はそう言ったのだが、みのりはいっそう切ない目をして遼太郎を見上げた。
「…私も、そう。遼ちゃんと一緒なら、ジェットコースターで腰が抜けるのも、楽しいわ。」
みのりが切ない目に微笑みを宿してそう言うと、遼太郎も自然に笑顔になった。