Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「…うん。ああ、知ってるよ。仲松先生の授業を受けてるのか?」
「いや、みのりちゃんは3年生の担任だから授業は受けてないけど、俺がラグビー部に入る時に……」
そう話しながら、俊次は冷蔵庫から牛乳を取り出して、それをパックごとぐびぐびと飲み干した。
「ラグビー部に入る時に…?」
大きく響く胸の鼓動を伴いながら、みのりの話の続きを促した。
「みのりちゃんに説得されて、ラグビー部に入ることになったんだよ。俺が試合に出る時には必ず応援に来てくれるって、約束してくれたし。」
遼太郎は相づちも打てずに唇が震え、それを隠すように唇を噛んだ。
みのりは俊次を自分の弟だと知って、気にかけてくれてるのだとしたら、この俊次とラグビーを通して、まだみのりと繋がっていられていると感じた。
「それに、もうずいぶん前のことだけど、みのりちゃん言ってたよ。『遼太郎くんは元気?』って。」
俊次を通して語られるみのりの言葉……。
それはあたかも、みのりがそこで微笑みながら尋ねてくれているように、遼太郎の耳には響いた。
そのみのりの言葉を、胸の奥に深くしまいこんで、遼太郎も訊かずにはいられなかった。
「…先生も、元気にしてるか?」
「うん、まあ。元気っていうか、3年部の先生だから忙しくしてるみたいだよ。」