Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
17 三人の男……
寒風が吹きすさぶ2月のグラウンドの脇で、みのりはあまりの寒さに座ることもできずに立ちすくんでいた。
どんよりとした曇り空からはちらほらと雪が落ちはじめ、ダウンのコートとムートンのブーツで完全防備の隙間から、寒さが忍び込んでくる。
ここに来てまだ30分も経っていないのに、もう既に足の先がジンジンしてきた。
ピィ――――――……!!
冷たい空気に、ホイッスルが鳴り渡る。
それと同時に、寒さなど物ともしない熱い戦いが始まった。
自分の息で白くけぶる視界の中で、みのりが見つめるのは、遼太郎……ではなく俊次の姿。
「試合に出る時には、必ず応援に行く」という俊次との約束通り、みのりはこの寒さを押して、いつもの野田原競技場へとやって来ていた。今日は、3年生が引退をしてから初めての公式戦である新人戦が行われていた。
同じラグビーというスポーツをし、同じ親から生まれた兄弟なのに、遼太郎と俊次のプレースタイルはまるで違う。
俊次はその長身を生かしてか、フォワードのロックというポジションに起用されていた。
スクラムではその真ん中でとにかく力を振り絞り、ラインアウトではジャンパーとしてボールを取る。そして、ラックやモールができるとどこからでも飛んできて、その密集の中に体当たりで突っ込んでいった。