Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「取材に来たんですよ。配置換えでスポーツ部になって…。慣れない現場なので鍛えられてます。」


 取材といっても、ラグビーの名門都留山高校ならばともかく、弱小ラグビー部同士の新人戦だ。今までメディアに取り上げられることなんて、皆無だった。


 その不審さを伴う違和感に、みのりはぎこちなく頷くことしかできない。

 蓮見との関係がどんなものであろうとも、こんな時には当たり障りのない話をするのが大人というものだ。
 そうしなければならないことは解っているのに、蓮見の登場という思いがけない出来事に、みのりの心も体もこわばってしまっていた。


 みのりが何も言葉を発しないので、蓮見の方から会話を持ちかけられる。


「先ほどは一生懸命、応援なさってましたね。…ラグビー、お好きなんですか?」

「………!」


 保護者と一緒になってエキサイトしていたところも、しっかりと見られていたと知って、みのりの顔が赤らんだ。

 今度ははっきりと問いかけられたので、何か答えなければならない。みのりは、寒風にさらされ渇いていた唇を湿らせた。


「…もちろんラグビーも好きですけど、私はどちらかというと、ラグビーをしている選手たちが頑張ってる姿を見るのが好きなんです。」


 みのりのその言葉の奥にいるたった一人の〝選手〟…。
 その存在には気が付けるはずもない蓮見は、会話を続けた。


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