Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「そうですか。鍛え上げた選手たちが身を挺してぶつかっていく姿には、確かに心打たれるものがありますね。実は僕も、ラグビーは好きなんですよ。とても自分ではできませんが、大学の時にはよく母校の試合を観に行っていました。」

「そういえば、蓮見さんは慶応大学出身でしたね。」


 慶応大学だったら、関東の大学の対抗戦や大学選手権など、ラグビーの試合を観られる機会も多かったはずだ。


 みのりが少し表情を緩ませて、相づちを打ったので、蓮見も嬉しそうな笑顔を見せる。

…変に意識しているのは、みのりの方だけなのかもしれない…。

 お見合いをしてから、もうすぐ2年が経つ。その間ほとんど音信などなく、蓮見が学校へ訪ねてきた出来事も、もう10カ月も前のことだ。
 蓮見の中でも、もう見合いも過去のことになっていて、今はもう普通の知人として接してくれているだけなのかもしれない。

 そう思えば、みのりの気持ちも幾分楽になった。


「生徒さんたちの試合には、よく応援に来られるんですか?」

「いえ、普段はほとんど来ないんですけど、今日は生徒と約束してたので…。」


 みのりの気持ちの緩みを受けて、少しずつ会話が弾みはじめた。……しかし、その矢先。


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