Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「なにも、絶叫系に乗らなくても、楽しめます。ほのぼの系に行ってみましょう。」


「……うん。」


 遼太郎がみのりへと手を差しのべると、みのりはその手を取って、ベンチから立ち上がった。


 みのりが遊園地で楽しめる乗り物といえば、メリーゴーランドやコーヒーカップなど、幼児でも乗れるようなものばかりだ。18歳の男子が乗るには子どもっぽすぎて、遼太郎は気恥ずかしさが先にたったが、それらに乗った時のみのりは、童心に戻ったように本当に楽しそうだった。

 学校では見ることのできない、子どものように無邪気な表情は、二俣の言っていた通り、予想に違わず可愛らしかった。信頼して、慕ってくれてなければ、見せてはくれないものだろう。

 遼太郎はそれを見て、ようやく気持ちを安堵させる。みのりの楽しそうな様子に、遼太郎の心は喜びで満たされる。安心して自然とこぼれでた遼太郎の笑顔に、みのりも満ち足りた笑顔で応えた。


 射的や輪投げといったゲームコーナーに差し掛かったとき、幼い子どもの激しく泣く大きな声が、耳に入ってきた。3歳くらいの男の子を、母親らしき人が一生懸命なだめようとしているので、迷子ではないらしい。


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