Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「それって、若い時の話なんじゃない?それに、古庄先生はイケメンすぎるから、彼女の方は気持ちをいつも確かめてないと不安なのよ。…じゃ、逆に訊くけど、古庄先生はそんな相手のことを、本当に心の底から好きだった?」
みのりからそう指摘されて、古庄はギクリとした表情で息を呑んだ。
確かに、みのりの指摘した通り、古庄が面倒くさくなって〝彼女〟を作らなくなったのは、5年も前の話だ。その前に付き合っていた幾人もの彼女たちも、猛アピールされた挙句、適当に付き合っていたに過ぎない。
あまりにも的確に真実を衝いてくるみのりの洞察力に、古庄は恐れ入って何も言葉が返せなかった。
「相手のことを真剣に『好きだ』って心の底から想ってたら、絶対に面倒くさいなんて思わないと思うけどな。」
追い打ちをかけるようなみのりからの言葉に、古庄は頬杖をついて考え、自分の人生を思い返す。
思えば今まで、一人の女性を真剣に好きになった経験などないと、古庄は今更ながらに気が付いた。
そして、おもむろに口を開く。
「…そりゃ、最終的には本当に心の底から好きになった人と結婚したいとは思うけど…、この調子じゃ出逢えそうにないし。結局、適当な人と妥協点を見つけて結婚するのかな…。」