Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「なんだよっ…!俺は何もしてないぞ!!」


 女の子たちに拘束されながら、俊次が苦しそうに発すると、みのりは腕組みして立ちはだかった。


「そう!なーんにもしてない。だから、問題なのよ!!」

「……へっ?!」


 俊次が抵抗をやめたので、女の子たちもその腕の力を弱めて俊次を解放してあげる。

 みのりは女の子たちに笑いかけて労をねぎらうと、俊次の腕を取ってから職員室へ通じる渡り廊下まで連れて来て、本題を持ち出した。


「…俊次くん。日本史の週末課題。4月から1枚も提出してないよね?」

「……!!」


 俊次は突然冷水をかけられたように、息を呑んだ。その一瞬後には、極まり悪そうに神妙な顔つきになる。


「……しゅ、週末は他の課題もあるから、日本史はついつい後回しになってて…。」


 俊次がシドロモドロと言い訳を始めると、みのりは怪訝そうな目つきで俊次を見据えた。


「へえ?後回し?!もうプリントが6枚も溜まってるんだけど?…そもそも、提出する気あるの?他の教科の課題だって、きちんと出してないでしょう?」

「…な、なんで、他の教科のことまで知ってんの?」

「そりゃ、知ってるわよ。私はあなたの担任なんだから!」


 みのりの厳しく本気の口調に、俊次は恐れをなして顔をこわばらせた。


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