Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 そこには、いつもラグビーの応援に来てくれる優しいみのりの笑顔はなく、俊次はその大きな体にかかわらず、小さくなってうつむいた。


 何を発せられない俊次を見上げて、みのりは深いため息を吐く。


「…英語や数学の授業は、理解が出来てるの?」

「……なんとなく……。」

「『なんとなく』ってことは、近いうちに全く理解が出来なくなるってことよ。」


 そんなふうにみのりに切り捨てられて、俊次はさらに縮み上がった。


 授業が理解できてないのであれば、課題が提出できないのも当然だ。逆に課題に取り組まなければ、授業の理解も深まらず、どんどん〝勉強ができないスパイラル〟に陥ってしまう。

 このままこの状態を放置すると、俊次はこの先卒業まで、授業中に〝昼寝〟をしているしかなくなってしまう。


――……『勉強が嫌い』って、本当みたい……。


 遼太郎の言葉を思い出しながら、みのりは難しい顔をして考え込む。


「……とにかく、これから課題をしなさい。」

「…分かりました…。」


 俊次は従順そうに頷くと、みのりに軽く会釈をしてその場を立ち去ろうとした。

 すると、みのりは血相を変えて、俊次のスポーツバッグを掴んで引き留めた。


「どこに行ってるの!今すぐ、ここで、溜まってる課題をするの!!」



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