Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「はあ?!だって、みのりちゃん。俺、これから部活があるし!」
みのりの強引な態度に、俊次の声もついつい大きくなる。
「部活は課題が終わってからよ。」
「そんなこと言ってたら、俺、部活に行けねーよ!!」
「課題が終わるまで、部活にはいかなくてもいい。江口先生には、私から言っておく。」
「何言ってんだよ!!県体も近いのに、部活に行かないわけにいかねーよ!!」
「今きちんとやっとかないと、定期考査が欠点だらけで、部活どころか学校辞めなきゃいけなくなるよ!!」
そこまでみのりに指摘されて、俊次は何も言い返せなくなった。今自分が直面している問題が、そこまで大事になるとは思ってもみなかったから。
いつしか感情的になり激しくなっていった言葉の応酬は、渡り廊下中に響き渡り、そこを行き交う生徒や教員たちの視線を集めていた。
この視線に気が付いて、みのりが少し声のトーンを落とす。
「なにも、一人でやれって言ってるんじゃないわ。私も付き合ってあげるから…、一緒に頑張ろう?」
みのりの目が、いつもの優しさを帯びる。
こんな目で見つめられると、もう俊次は「いやだ」とは言えなくなってしまう。
しぶしぶだったが、一つ頷いてからポツリとつぶやいた。
「…みのりちゃんが、『仲松先生』になった……。」