Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「…え?ホントに彼氏?もしかして、生徒とか…!?」
係員の笑みが驚きへと変化し、目を大きくして突っ込んだ質問をしてきた。そう言いながら、まじまじと遼太郎のことを眺め回す。
困惑して遼太郎がもう一度みのりへと視線を投げると、みのりも困ったような笑顔になって係員を見つめ返した。
その時、ハンマーゴングのところへ、数人の中学生と思われる男の子の集団がやってくるのが見えた。
「田端さん。お客さんじゃない?」
みのりに言われて、係員は振り返る。
「あっ。先生、それじゃ。」
軽く頭を下げて持ち場に戻る係員に、
「頑張ってねー!」
と、みのりは声をかける。
係員はもう一度みのりの方へ向いて、深々とお辞儀をしていた。
「先生の教え子ですか?」
歩きながら、遼太郎が改めて尋ねてみる。
「うん、山沢商業にいたのは、一昨年だったかな。商業高校だから就職する子も多いんだよね。山沢商業はここからも近いし、ここで働いてる子がいても不思議じゃないけど、まさか教え子に会うとは思わなかったな。」
みのりも息をつきながら答える。
「…俺のこと。やっぱり『弟』に見えるんですかね?」
「……。」
遼太郎の言葉の意味を考えて、みのりは何も答えられずに遼太郎を見上げた。