Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
――浴衣まで着て、独りで祭り見物なんてするわけないでしょう?!コイツら、見た目通りのバカなのね?
心の中で悪態を吐きながら、どうやってコイツらを撒(ま)こうかと考えを巡らせた。
逆切れされて面倒なことになっても困るので、みのりは人目に付きにくい藤棚の下からおもむろに歩き出し、何気なく社務所の方へと向かい始める。
すると、男たちもみのりに付いて歩き、しつこく食い下がってくる。
――コイツら…、私の本当の年齢を教えたら、ビックリして逃げていくかも…。
みのりのことを、さすがに30を3つも越えているとは思っていないのだろう。そうでなければ二十歳そこそこの男の子が、こんな軽いノリで誘いをかけてくるなんてありえないことだ。
そんなふうに考えを巡らせて〝対策〟を練っていると、
「みのりさん!!」
人ごみの中から、突然名前を呼ばれた。
振り返ると、人の波を避けながら蓮見が駆け寄ってきている。
蓮見は、みのりと男たちの様子を一目見ただけで状況を覚って、眉を寄せて表情を険しくさせた。
「すみません。お待たせして。」
そう言いながら、みのりの背中を抱え込むように押して、男たちに背を向け歩き出す。