Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「…ちぇ、なんだ。やっぱ、男連れかよ…。」
そんな言葉を背後に聞きながら、みのりはホッと胸をなで下ろしている自分に気が付いた。蓮見が登場して身構えるどころか、そんなふうに感じている自分が信じられなかった。
「……大丈夫でしたか?こんな所で待ち合わせをしたから、不快な思いをさせてしまって、本当にすみません。」
男たちが見えなくなって、蓮見がみのりに向き直る。
しかし、蓮見に見つめられたその瞬間、やっぱり今自分が直面している問題は、あの不埒なナンパ男よりもこの蓮見そのものだと、みのりは確信した。
「大丈夫です。あのくらいのナンパ、よくあることですから。」
心配するに及ばないと、みのりはわざと強がって見せたが、みのりのその言葉に蓮見は安心するどころか、却って目を丸くする。
「…あ、そうなんですか…。」
と答える蓮見の反応を見て、しょっちゅうナンパされて、しかもそれに慣れていると誤解されたように感じたが、みのりは敢えて弁解することはしなかった。
祭りの見物客が行き交い賑わう街の中で、恋人でもなく友人とも言い難い二人の周りにだけ、気まずい空気が漂っている。