Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
恋人同士や友達同士にしては歳が離れていると、他人の目には映るのだろうと、みのりも思った。
それでは、そうでない男女二人連れとなると、姉弟ということになるのだろうか…。
「…他の人にどう見えるのかなんて考えて、それが気になるのなら、遼ちゃんは私と一緒にはいられないよ。」
少し間をおいて、みのりがそう口を開いた。今度は遼太郎の方が何も答えられずに、みのりを見つめる。
みのりも遼太郎にそう言いながら、自分の心の中ではハッとしていた。
今朝、着ていく服を決めかねていたのは、まさしく他の人にどう見られるのかということを、気にしていたからに他ならない。もっと厳密にいうと、他の人にどう見られるかということを、遼太郎が気にするかもしれない…という不安があったからだ。
「別に…、気になんてしてません。」
本当は〝弟〟と見られることを気にしていた。そのことを押し隠して、遼太郎は決意を含ませて短く答えた。
今の遼太郎にとって、何よりもみのりと一緒にいられることが一番大事なことだった。それは、みのりへの想いに気が付いてから、ずっと望んできたことだ。
みのりに想われて、みのりの一番側にいられるのならば、周りの人にどんなふうに見られようが、どうでもいい――。
今はもっと、二人でいられる時間を楽しもう。そう思って遼太郎は、人目を気にすることなく、みのりの手を取った。