Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
あまりの美しさに、心が痛くなる…。
賑やかな祭囃子も、切なく心に響いてくる…。
一緒にいるのが、心から愛しいと想える人だったならば、この美しさももっと穏やかに感じられるのだろうか…。こんなにも心に刺さらないのだろうか…。
見物客の波に押されるので、蓮見は盾になるようにみのりの背後に立ってくれている。
みのりはすぐ側にいる蓮見の息遣いを感じながら、彼がどんな表情をしているのか、見上げることさえできなかった。ただ、目の前の山鉾の姿と囃子の音に、心を澄ませた。
目に映る夢のような光景が終わると、人の波が一斉に動き始める。
「…あら?あれ…!?」
相変わらずドンくさいみのりは、自分の体が制御できなくなり、この人の波に流されていく。
意思に反してどんどん蓮見から遠ざかっていき始めた時、
「みのりさん…!」
蓮見もその状況に気が付いて、とっさに腕を伸ばした。
みのりは蓮見に手を握られて、力強く引き寄せられる。人ごみにも押されて、蓮見の胸に抱き留められるかたちになった。
「…あ、ありがとうございます。」
みのりがお礼を言いながらも体を硬くしたので、蓮見も手を離してぎこちない笑顔を作る。