Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「……どうして僕ではダメなのか…、理由を聞かせてもらっていいですか?」
蓮見がそう言うのも、もっともだった。
これほど結婚相手として完璧な蓮見には、きちんと理由を告げなければ納得してもらえないだろう。
2年も待たせてしまったからには、『仕事が忙しい』『まだ結婚する気になれない』などの理由は通用しない。
もうみのりは、自分自身にさえも見えないように、覆い隠していた自分の本当の心を、蓮見にさらけ出すしかなかった。
唇を噛んで決意を固めると、思い切って口を開く。
「蓮見さんは何をとっても申し分のない方です。理由は私の方にあります。……蓮見さんとお見合いをする前から、もうずっと……好きな人がいるんです……。」
『好きな人』と蓮見に打ち明ける時、みのりの心に遼太郎が浮かび、思わず声が震えた。
みのりの返答は、蓮見が想定していた最悪のパターンに属していた。
それでもまだ諦めきれない蓮見は、みのりの事情を確かめようと、その手を離さずに自分を奮い立たせる。
「…みのりさんは、その方とお付き合いなさってるんですか?……結婚は、考えてないのですか?」
蓮見から問い質されて、みのりは自分の境遇にそぐわない自分の想いを再確認して、涙が込み上げてきた。