Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
こんな涙を蓮見には見せたくはなかったが、鼻の奥がツンと痛くなって止めることができず、涙はポロポロとみのりの頬の上をこぼれ落ちた。
「結婚どころか、…付き合ったりしてはいけない人なんです…。でも…、これからもその人のことは忘れられないと思います。」
この告白とこの涙で、みのりが不毛で切ない恋をしていることを、蓮見は悟った。しかし、却ってそこに一縷の望みを見つけて、みのりとの未来を見出そうとする。
「……分かりました。みのりさんはその方を忘れなくても、想い続けててもかまいません。でも、みのりさんがその方と結婚できないのでしたら、…僕が一生あなたの側にいてはいけませんか?」
「何を……言ってるんですか?」
あまりにも度が過ぎた思いがけなさに、信じられないものを見るように、みのりは涙顔で蓮見を見上げた。
「あのお見合いから2年が経って…何の変化もないからか、周りから、またお見合いを勧められるようになりました。…それで、改めて自分の心と向き合って、気づいたんです。…他の人との結婚は考えられないと。僕には、みのりさんしかいないと…。」
この2年間、みのりは何度か蓮見からの着信を無視し、会って話をしたのもほんの数回だけだ。
それなのに、どうして蓮見の中には、こんなにも想いが育ってしまったのだろう…。