Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
その二俣の一言でとうとう堪えきれずに、みのりの両方の瞳から涙が零れ落ちた。
あの時の遼太郎の心を思うと、みのりの胸にも切り裂かれそうな痛みが走った。
「…でも、大学には若くて可愛い子が大勢いて…。もし他に誰か好きな人が出来たら……、その時苦しまなきゃならなくなるでしょ?…二俣くんだって、実際彼女と別れる時に苦しんだでしょう?」
「…俺だって、他に好きな子が出来たわけじゃないけど。俺と遼ちゃんを一緒にするなよ!遼ちゃんに限って、そんなことは絶対にない!!」
二俣は、親友のために必死だった。みのりに恋をして切なかった遼太郎も、想いが通じ合って嬉しそうだった遼太郎も知っている。
その遼太郎の哀しみで沈んだ目を、これ以上見たくなかった。今の境遇の中で、必死で希望を見つけだそうとしている遼太郎が、哀しくてしょうがなかった。
何も言わずに、ただ泣いているみのりの涙を見て、二俣はみのりもまだ遼太郎を想っていると確信する。
「そんなふうに泣くくらいだから、みのりちゃんだってまだ遼ちゃんのことが好きなんだろ?……遼ちゃんに会いに行ってやれよ。みのりちゃんから『会わない』って言われてるから、遼ちゃんは馬鹿みたいに〝先生〟の言いつけを守ってて……、自分からはどうにも動けないんだよ。」