Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりは目をクルリとさせて、小さく肩をすくめた。遼太郎はその些細な仕草に何かを読み取って、みのりをじっと見つめる。
「な、…何?」
その意味深な視線に、みのりは口に持っていっていたバーガーを下ろしてたじろいだ。
「江口先生って、先生のことが好きなんですよね。」
ポツリと出てきた遼太郎の言葉に、今度はみのりが目を見張る。
「…な、なんで、知ってるの?!もしかして生徒の間で、広まってるの?」
みのりが焦ってそう言ったので、遼太郎はそれが事実なのだと確信した。
「知ってるわけじゃないんです。ふっくんがそうじゃないかって言ってて…。ふっくん、勘がいいし。」
それを聞いて、みのりは顔色を真っ赤に塗り替えて弁解を始める。
「でも、何もないのよ。江口先生とは、一度一緒に食事をしただけだし。」
遼太郎はイルミネーションの中で、二人が歩いていた絵を思い出した。
けれども、ただ一緒に食事をしただけだったら、みのりが江口の気持ちを知るはずがない。
「…食事をしただけ…。」
疑問を含んで遼太郎が反復すると、みのりはいっそう弁解の必要に駆られる。