Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「何言ってるんだよ?そりゃ、遼ちゃんだって変ったところもあるだろうけど、みのりちゃんへの気持ちは変わるはずない。そんな簡単に心変わりするくらいなら、初めから〝先生〟だったみのりちゃんを好きになったりするわけない!」
みのりだって、二俣に言われなくても、そう信じていたかった。自分に懸けられていた遼太郎の愛情が、高校生とは思えないほど、とてもとても深かったことも解っている。
けれども、2年以上の時は、そんな強い想いも風化させてしまう力を持っている。ましてや、遼太郎に想いを寄せる人間が近くにいれば、その風はいっそう強くなる。
みのりはもう何も言わずに、二俣の言葉を聞いて首を横に振った。こんなみのりを見て、二俣も業を煮やす。
「何が、『狩野くんのため』だよ?自分が傷つきたくなかったから、ありもしないことを一人で勝手に想像して別れたのかよ?」
二俣の言っていることは、真実を衝いていた。
高校を卒業して離れ離れになった恋人たちが別れていく様を、みのりは何度も目の当たりにしていた。自分と遼太郎も、そうなってしまうことを恐れていた。
大人になって価値観が変わった遼太郎に、捨てられてしまうのが怖かった――。