Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
そんな熱心な研究態度と、分け隔てなく誰にでも親切な遼太郎は頼れる存在として、同級生はもちろん後輩からも慕われていた。
「遼太郎?お前、バイトって?この前インターンシップに行った会社か?結局、バイトに行くことにしたんだな。」
佐山からその話題を振られて、遼太郎は肩をすくめて相づちを打つ。
「うん。ちょうどバイトの募集をしてたから。あの会社の環境関連の事業って色々あって…。バイトをすると、インターンシップで見えないところも見えるかな…って。」
「確かに、バイトで働かされると、そのギョーカイがよく見えることもあるよな。」
「でも、最近はバイトにあれこれ責任のあることやらせたり長時間働かせたりする『ブラック』なところもあるらしいから、気を付けてね。狩野くん。」
と、佐山との会話の中にも、スルリと樫原が入り込んでくる。
佐山の怪訝そうな表情に引き替え、遼太郎はそれをうっとうしがることなく、ニッコリと笑顔で応えた。
「うん、心配してくれてありがとう。気を付けるよ。」
遼太郎の言葉に樫原は、遼太郎以上に輝く笑顔で応えて気を良くする。
「それじゃ、狩野くん。早速旅行社に行こ♪」
「えっ!?もう今から行くのかよ?合宿のことだし、俺も一緒に行きてーから、次の講義が終わるまで待っててくれてもいいじゃんか。」