Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「その時に江口先生に口説かれたのよ。『寂しいなら慰めてあげる』とか、…その、『好きだ』とか…。」


 遼太郎が相手では、みのりは嘘はつけない。しかし、それに加えて、「抱かせてくれ」と持ちかけられたことは、みのりもさすがに言い出せなかった。


――やっぱり、ふっくんの言う通りだった…!


 遼太郎は、恩師である江口のことを「このやろう!」と少し思ったけれども、江口の気持ちも解らないでもなかった。このみのりに優しくされて、心が動かない男などいない。


「だけど…!ちゃんと断ったのよ。好きな人がいるからって…。」


 真っ赤な顔で弁解を続けているみのりを見て、遼太郎は本当に可愛いと思った。そして、その「好きな人」は自分のことなのだと悟る。


 あの 冬のイルミネーションの頃から、みのりは想ってくれていた…。


 そのことを噛みしめると、遼太郎は胸がいっぱいになって、気がつくと、ただジッとみのりを見つめていた。その優しい視線を受けて、みのりも恥ずかしそうに微笑んで、バーガーを口へと運んだ。



 バーガーショップから外へ出てみると、まだ昼下がりにもかかわらず、もう夕方のような暗さになっていた。雨粒こそ落ちてきてはいないが、いつ降ってきてもおかしくないような状況だ。

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