Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
こんなにもはっきりと断っているのに、陽菜も後には引けないのか、しつこく食い下がってくる
「…だったら、私が忘れさせてみせます。狩野さんに、その人よりも好きになってもらえればいいんですよね?」
「無理だよ。…とにかく、俺は、誰とも付き合う気はないから。」
女の子ともきちんと付き合う――。
あの春の別れの日に、みのりから出された〝宿題〟をもう一度やってその経験を増やすのなら、このまま陽菜の想いを受け入れてもいいのかもしれない。
けれども、例え付き合うことになっても、遼太郎は同じ想いを彼女に返せない。それは、初めから分かりきっていることで、彩恵と付き合った時の苦い経験を、もう二度と繰り返したくなかった。
しかし、陽菜のポジティブさは、遼太郎のそのくらいの言葉ではへこたれない。
「今はそうかもしれません。でも、先のことはどうなるか分かりません。」
と、まっすぐな目で遼太郎を見上げ、一縷でも望みを見つけ出そうとしているようだ。
――俺のこと、何も知らないくせに、何言ってんだコイツ…。
遼太郎ほうんざりして歯ぎしりした。こんなふうに粘られては、可愛いと思うどころか煩わしいばかりだ。
苦虫を噛み潰したような顔をして、何も答えない遼太郎に、陽菜はさらに言葉を続ける。