Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
21 夏合宿、恋模様
大学も夏休みになり、ゼミ生たちが待ちかねていたゼミ合宿が始まった。
彼らが、飛行機に乗りバスに乗って到着したのは、沖縄ではなく――九州のとある県だった。
何故、沖縄ではなくなったのか…。
それはまず第一に、ゼミの担当教官から当初出した計画を、「中身が薄すぎる。遊びに行くのが目的なのか?」と却下されたこと。
そして第二に、夏休みシーズンの沖縄はやはり割高で、旅行費用が高額になり、ゼミ生の中でも不参加を表明するものが多かったからだ。
夏休みまでにあまり時間もないのに、ゼミ生たちは一から計画を立て直す必要に迫られる。
といっても、2年生は初めての合宿で勝手がわからない。4年生は就職活動の真っ最中の上、合宿で卒論の中間発表をしなければならず、それの準備に追われている。
必然的に、3年生がその任に当たらねばならなかった。
そして、こんな時に頼りにされるのが、普段から真面目で適切な判断ができる遼太郎だ。
高校の時までは、こんな場合でも誰かが仕切ってくれるのに黙って従っているだけだった。初めに行先を沖縄に決める時にも、周りの成り行きに任せて、遼太郎はほとんど口を出さなかった。
それなのに、今のこの状況になって、どうしてこんなに頼られてしまうのか、遼太郎自身も分からない。