Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
しかし、戸惑っている場合ではなく、せっかくの研修の機会がなくなってしまうかもしれない。
遼太郎は満を持して意見を出し、再生可能エネルギーを利用した発電所に見学に行くプランを提案した。すると、藁をも掴みたい状態だったゼミ生たちは、すんなりとそのプランを受け入れて話が進んでいく。
けれども、そういった発電所は全国にたくさん点在していて、効率よくそれらを見学する場所を選定するには、ずいぶんな調査が必要だった。
そんな時、積極的に協力してくれたのが、長谷川陽菜だ。もちろん、佐山や気の利く樫原も一緒に調査に当たったが、陽菜は文句一つも言わず、まるで遼太郎の手足のようによく動いてくれた。
それは、遼太郎を恋い慕う気持ちがあればこそで、陽菜は遼太郎のために努力を惜しまなかった。
その陽菜の気持ちを知っていればこそ、遼太郎は彼女とはなるべく関わりたくないと思っていたが、そんなわだかまりも感じさせないほど、陽菜は明るく軽快だった。
何よりも、陽菜は打てば響くように機転が利き、彼女の情報収集能力には目を見張るものがあった。
「すごい!陽菜ちゃん!!よくこんなに早く、これだけのことを調べて来たね!」
陽菜がゼミ室のテーブルに広げた資料の量とその質に、佐山が感嘆の声を上げる。