Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 佐山が言うように、下手な情けをかけて深入りさせたくはない。けれども、陽菜が教えてくれた企画展示なのに、誘いを断って一人で行くような露骨に嫌味なこともできなかった。

 優しいことが裏目に出て、優柔不断な遼太郎は、結局断れずに陽菜のペースに流されてしまう。


――……ゼミの先輩と後輩として、行くだけだし……。


 遼太郎はそう自分に言い聞かせて、憂鬱さを押し殺した。


 博物館の前で待ち合わせて、遼太郎を見つけた陽菜が駆け寄ってくる。しかしその様子は、遼太郎の思惑とは裏腹に、誰がどう見ても〝彼氏と彼女〟に他ならなかった。


「こんな小さな博物館の企画展示なんて、よく見つけたね。」


 展示を見ながら遼太郎がそう声をかけると、陽菜は嬉しそうに笑顔の花を咲かせた。


「狩野さん。こういうテーマのもの、好きかと思って。見つけた時には、絶対に知らせなきゃ!!って思って。」


 陽菜のこんな無邪気なところを見てしまうと、邪険にすることもできなくなる。
 それに何より、陽菜の何気ない笑顔や仕草の中に、みのりの影が浮かぶ。無意識のうちに、それを追い求めている遼太郎がいた。


「…高校生の時、こういうテーマでレポートを書いたんだ。ここの展示もレポートと同じ部分もあるけど…。」

「えっ!高校生の時に?!さすが狩野さん!意識が高かったんですねぇ!」


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